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世界は繋がってるんだぜ


あまり興味のない方には、申し訳ない内容の今回。

メトロの交通費も馬鹿になんないなあ、と予々思っていた今日この頃、
とあるフランスのブロカントのホームページで、
80年代の50ccのバイク、suzuki zr50slが3万円ほどで、
中古ではあるが売りに出されているのを発見した。


普通の原チャなら、あまり興味がないのだけれど、
見た目がかなりイカしている上、値段もお給料で買えそうなら
これを機会にバイク通勤になろうと思い、
早速売り出している主とランデブーを取った。

内容を聞いていると、どうもかなり調子は悪い模様。
是非この目で確かめたくなった。

住所を聞くと、これまたパリから特急で1時間の田舎の外れと言う。
よし、今日は日曜日だし、掃除、買い物、洗濯を済ませたら
いそいで行こうと決め、手際よくそれをこなして、
電車に乗った。

進むに連れて、景色は、都会のそれから、久しぶりに見る
田舎ののどかな風景に変わった。


約一時間後、5月なのに、焼けるような日差しの中、
その目的地の駅に着いた。
失礼が無いように書きたいが、ボクの友人で、
三田市の山奥に住んでいる男の家の近くの駅にそっくりなほど、
周りに何にも無いところであった。


携帯電話で、着いたことを知らせると、10分少々でその男性は現れた。
ぼろぼろの車から降りてくると、わざとらしいほど足を引きずって歩いて来た。
なにやらサッカーのユニフォームらしき上下を着ている。
スパイクまで履いている。
なんなんだ、この人、と、思って話を聞いてみると、
「いやー、今朝のサッカーの試合でこけちゃって、へへへっ。」
と、顔をくしゃくしゃにして笑い始めた。
どうやらとてもいい人らしい。

その彼の車に乗って、3分ほど走ったところに
彼の住むアパートがあった。
周りを小さな山に囲まれた、憩いの施設のような
のんびりしたところで、我々は降りた。

こっちこっち、と、彼は地下の入り口になっている壊れそうな
古い扉の施錠を開け、中に入って行った。

入ってみると、洞窟のような細い道が延々奥へと続いていて、
このまま誘拐されてしまうのではないかと思うほど、
牢屋のような扉の並ぶ地帯へと入って行った。


この景色、見たことある。ボクは思った。
あ、そうだ。映画の「クリムゾンリバー」で、
ぼくの憧れの俳優、ヴァンサン:カッセルがこんなところ歩いてた気がする。
そう思うと、なんかうれしくなってきた。

間もなく、われわれは、その道の一番奥へとたどり着いた。
そこには、今か今かと、ボクの来るのを待っていたと言わんばかりに、
少しほこりをかぶって、でもキラキラ輝く、suzuki zr50slが
眠っていた。


「Ca marche bien?」 ちゃんと動くのか一応聞いてみた。
「Tu veux essayer ca dehors?」試してみるか?と聞くと、
彼はポケットをもぞもぞし始めた。
「あれ?あれ?無い!何処いった。あれ。おかしいなあ。」
と、あきらかに鍵を無くしたっぽい様子。

ちょっと待ってて、とだけ言い放って、
このクリムゾンリバーに出てくる修道院の地下通路の中、
ひたすら待つこと30分、彼がまた足を引きずって戻ってきた。

「良かったー、あったー。」みたいな感じで、
鍵をちらつかせる彼。
もういいから、早くして、と、言わんばかりに、
首を横に振って、あきれ顔を見せると、
少し急ぎ足で鍵を外して、外へと運び始めた。

さて、エンジンかけますか!みたいに大きな声で気合いを入れると、
「キュルキュル、、プスン、、ゴロゴロゴロ、、」
変な音を立てて、反応しないsuzuki zr50sl。

ちょっと待って、と言って、何やらエンジン付近をいじくって、
「エンジンかけてみて。」と、ひと言。
ぼくは、スターターに足をかけて、それを振り下ろした。

「ブーン!ブブブーン!」
モクモクと変な煙は出ているものの、イカした音と共に
エンジンが動き始めた。

「ちょっと、乗ってみていい?」と、聞いて、
その辺を軽く一周してみた。
50ccとは思えないほど座り心地もよく、
よく晴れた青空の下、ぼくはのんびりと
その辺を走って廻った。


「この煙がかなり気になるけれど、気に入ったよ。」
と言って、来週までに考えて、次の日曜日に
また来る約束をして帰ってきた。

帰りの車中、今日半日の出来事を振り返って、楽しくなった。

こんなフランスの田舎町に、ぼくがこの年、この月に
出会うべきバイクが、いろんな人の手に渡りながら、
待っていたと思うと、出会いって面白いなあと、
単純に感動した。

今、生きている回りにある物だけが、自分の人生をともにする物じゃない。
きっと探せば探すほど、動けば動くほど、
この広い世界の中には、自分が出会うべき物が
まだまだたくさんあって
ぼくが現れるのを今か今かと、今日もどこかで待っている気がする。




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